日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2013年2月13日水曜日

VFX業界の衰退と原因

すでに公にされていますので、もう話しても大丈夫かと思いますが
ご存じの通り、先週の金曜日にR&Hでは全社ミーティングが開かれ社長からはじめて現状の説明がありました。
全社ミーティングは社長自らが現在会社で起きていること、これからの予定などを皆に説明するのですが、社長が時間があれば大体毎週金曜日に予定されています。
まぁ今まで出てなかったので、今回が初めてでしたがほぼ全社員がいたのではないかと思うほど沢山の人であふれかえっていました。
もともと派手なジェスチャーなどしない、おちついた社長なのですが、この日は口も重く、大体すでに皆が知っていたこ

とを社長自らがオフィシャルな形で語ったという感じです。
話し終えた社長はうつむき加減で次の言葉を探しているとき、その唇はわなわなと震えていました。
(それが年のせいかどうかはわかりませんが、自分には感情の高まりと思えました)
昨年25周年を迎え、長年のこの業界での功労がこのような形になり、多くの社員に危機感をいだかせる、社長としてこのような屈辱的なことはないでしょう。
その姿をみておもわず涙が出そうになりました。
実際泣いていた人も居ます。

その夜、家に帰ってある動画を見つけました。
現在のVFXがここから始まったと言っても過言ではない場所と人々を撮影した8mmの映像です。
https://vimeo.com/5494280
5757 from David Berry on Vimeo.

もちろんこれ以前にもSFXはありましたが、突出していたのはこの会社です。

ILM

小中学の頃はSFXブームでもあり、多くのSFXのメイキング映像がTVでも流されました。
スターウォーズのメイキングも良くTVで流れていました。
その多くは楽しそうで、活気があり、いつかそんな仕事がしてみたいと思わされる物です。
自分の人生もこれで大きく変わりました。
おそらく映画「スターウォーズ」をみただけでは人生は変わらなかったでしょう。
メイキング映像をみたことでそれが人の手によって作られることの楽しさを知ってしまったのですw

しかし、この動画は、初めて見る物でした。
今では、この業界では、もう神様的に有名になった人達がぞろぞろ出てきます。
皆若く、重労働を物ともせずに楽しみながら働いている。
そんな感じが画面からも伝わってきます。

見ているうちに泣けてきました。
すぐに職が無くなるかも知れないという自分の将来を思ってではありません。

LAがVFX業界でトップクラスの力を持っており、それが今、老衰したかのような瀕死の状態です。
昼間のジョン・ヒューズ氏の姿とかぶってしまい、その無気力になってしまったVFX業界を悲しく感じたのです。


その後、VESから以下の表明があったというのがTwitterで流れたのですが、
あとで気がついたらこれ2011年の5月の記事。
それから2年経過してたしかに、いろいろ業界で話しは盛り上がったけど、結局スタジオとの交渉に至ることはなく、スタジオ側からのコメント一つ引き出せていない状況です。
そして先月行われたVESアワードでEric Rothはこの業界の問題を解決する方法を知っている人がいれば教えて欲しい、みなと共有して欲しいとまでいいました。

・・・そこからわかることはかれが言ってた解決策はどこにいっちゃったんでしょうか?

そしてその解決策は、VFX業界内だけで議論したところでなんの解決にもならない。
VFX業界からスタジオ側へ話を持ちかけ、交渉して改善しない限りなにも解決しないというのが現状です。
この問題は税制優遇措置とは全く関係ありません。
税制優遇措置はどこがあれが、破産するのをすこし先延ばしに出来るだけのことです。
いいかえれば、VFXのプロダクションが生き残るにはもう国のお金に頼らざるを得ないのが現状です。
(もちろん非常に安い賃金で運営できるなら別ですが)


そして問題は明確にされており、解決するためにやるべきこともわかっているのです。
しかしだれもやろうとはしてません、議論が交わされるだけです。
ブログ上やミーティングでいくら議論をしても解決には結びつきません。

唯一VFXSoldierだけが、金を集め弁護士を雇い行動を起こしています。


とりあえず2011年の5月にEric Rothが送ったオープンレターの記事を翻訳しました。
いつものように適当翻訳ですので、誤訳がありましたらご指摘感謝します。



http://www.deadline.com/2011/05/visual-effects-society-exec-director-eric-roth-slams-movie-industry-for-terrible-treatment/

VES(全米視覚効果協会)のエグゼクティブ・ディレクターであるエリック・ロスが映画業界のひどい仕打ちを酷評

これはVESのエグゼクティブ・ディレクター「エリック・ロス」が2400人のメンバーに今日おくったオープンレターです。
この非常に重要なクリエイティブな技能に対する映画業界のひどい仕打ちを非難する物です。


名誉ある協会として、VESはVFXアーティストのすばらしい仕事を促進してきました。
しかし今のところ、我々の職業のビジネス的側面を導こうと達がある物は誰も居ません。
だれも、代表者の居ないアーティストとプロダクションのために意義のあるやりかたで声を上げる事が出来ないのです。

だれにとっても、ビジュアルエフェクツ業界の状態が不安定であることは驚きではないでしょう。
アーティストとビジュアルエフェクツの会社は少ない収入のためにより長い時間の仕事を強いられ、削られたスケジュールのもとで、よりすばらしいVFXを提供し、
我々の仕事から他の人達が沢山の利益を得ている間、多くの財政的負担を担ってきました。

その結果として、ビジュアルエフェクツとエンターテイメント業界内でのその役割について沢山の議論がかわされてきまいた。

アーティストの関心を表明するためのVFXユニオンの設立を望む声もあり、VFXプロダクションが今日の複雑な経済をよりよく切り抜けるために取引組織を創設しようとしている一方で、沢山の人はVFXアーティストはつけ込まれており、多くの他の人達は、VFXプロダクションは維持できないほどの激しい競争と利ざやにしばられていると感じている。


国際化の増大は、ビジュアルエフェクツの制作プロセスをより一層不可欠な物にしていきました。
多くの人はもし我々の業界における現在のビジネスモデルが長期にわたり持続可能な物だろうか?と思っています。
実のところ、増加する数々のブログはなぜアーティストはひどい残業時間を仕事が終わるまで健康保険も無しに何週も何ヶ月もつづけることを強要されるのか、そしてVFXプロダクションはそのパイプラインを保ち、営業し続ける(と希望している)のためだけに損失を強制されます。


我々の創造生がすばらしく驚くべき革新的な映像を作るほどに、VFXプロフェッショナルはその業界でのビジネス面では自分自身のお粗末なマーケティングをするのです。
手短に言うと、我々の努力、タレントを集めた力、強く統一された情熱、全体のものとしてこの業界統一した声などをだれも活かすことができないのです。


VESは集団としての交渉力は持ってないかも知れません。しかし23の国にまたがる2400のアーティストの声の力を持っています。- そしてVESの取締役はそれを今使う時だと決断しました。
我々は変貌する国際的な業界とその中の我々の居場所についての難問に立ち向かうためにVFXに関わる全ての人

にとって必要で関係することを訴えることの出来るただひとつの実行力のある組織です。

特にトップ50の映画のうち44本がいつもビジュアルエフェクツに支えられていることを考えたとき、我々が助けている多くの人は沢山の収入を得ています。しかし、それは平等に共有されるわけではなく、我々に支払われるよう配慮されるわけでもありません。(http://www.imdb.com/boxoffice/alltimegross).



VFXアーティストへ(コンピュータギークや、ナードではありません)、最終損益においてビジュアルエフェクトがはたす役割を正当に配慮した額を受け取っていません。
そしてそれは明白ないくつかの方法で現れています。


・クレジット - 我々はスタッフロールで不完全なリストでしか表示されず、しかもあるべき場所よりずっと後のほうなのです。

・ベネフィット - アメリカでは、健康保険または眼科保険、または年金制度が準備されていないことがよくあります。
アメリカ外では、国民健康保険が適用される国民でないなら、健康保険の対象とならないことがしばしばです。
または自身の年金をためるための時間もなく、余剰金を受け取ることも出来ません。
我々は労働組合(ユニオン)では組合化されていない唯一の部署です。
そしてそれゆえにセットにいる他のだれもが得ているような利益を受け取ることが出来ないのです。


・労働状況 - もしあなたがフリーランサー(通常、全ビジュアルエフェクツ労働者のほぼ半数がフリーランスであるといわれています)なら共同交渉によって守られていないので、あなたは締め切りに間に合わせるために週70-100時間の労働を数週間から数ヶ月強いられるでしょう。
その特権(アメリカでの)のために、あなたは1099をファイルするべき独立した契約者として分類されます - そのため雇用者がしはらうべき税金まで自分で支払うことになります。
(所得税のうち、社会保障保険に関しては通常、雇用者と被雇用者が半分づつですが、フリーランサーは個人事業者とみなされ、両方を自分で支払うという形にされることがあります)


世界中の中小VFX事業者の多くは生き残りに必死です(またはすでにやめているか。(RIP  Café FX, Asylum, Illusion Artsなどなど))。
今までこの業界のほとんど全ての人は、数年前からあるこの話を知っているでしょう。
どこかのスタジオのエグゼクティブは「映画を1つ作っている中で一つぐらいのVFX会社を倒産に追い込めなかったら、かれは自分の仕事をやっていない」と言ったそうです。

個人の考えはどうでもよいのです、VFXアーティストの利権はもはやムシされえるものではありません。


これからの数週間/数ヶ月。
VESは取引とVFXのブログ、バーチャルタウンホール・ミーティングVFXアーティストの権利章典、VFXのCEOフォーラムなどで取り上げることによって、アーティストやプロダクションとスタジオが直面している問題にスポットライトをあてます。


解決策はあるはずです、我々はそれを見つけます。

我々はスタジオがきちんとした利益をもたらしてくれることを望みます。
我々はこれまでに一度も変わらなかった財務環境でプロダクションが生き残り成長することを望みます。
そして、アーティストが毎日行っているその仕事と同等の額をその高いクオリティーの仕事と共に維持できることを望みます。

上記に述べた全ての問題がさらけだせるように、VESはこの業界のすべての関係者と組織化のための会合を率いていきます。

我々はVFSです。一つ上の段階へ進むときがきました。
VES2.0はここにあり、そして導いくときです。


Eric Roth
VES Executive Director



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